ラボ配属からここまでを振り返ってみる (第一部)

 

この記事は慶應義塾大学杉浦孔明研究室アドベントカレンダー2023の1日目の記事です

はじめに

2020年4月に学生3人,秘書さん,ボスの5人でスタートした弊研も,気づけば計23名(2023/11/29時点)となりようやく普通の研究室と同規模になりました.振り返ればこの約4年間色々なことがあったもので,この記事では学生目線でつらつらと振り返っていこうと思います.書いてみたら大ボリュームになりそうだったのでとりあえず第一部(~2020年秋学期)です.思い出話を語る年寄りみたいなテンションで書いたので相当読みにくいかと思いますがご容赦ください、、

 

ラボ発足前

そもそもの起こりは2020年のB3研究室振り分け時にとある研究室の募集人数が増えたことでした.その時は元々その研究室志望であったこと,例年倍率が1倍を超えていたことからラッキーくらいにしか思っていませんでした.なんとか面接を乗り越えて無事振り分けされたのが2020年12月.そこからは普通に新人研修を受けていたように思います.

 

ところが,新人研修も終わった頃,いきなり「新しい研究室ができる」「新B4は分割してもらい,3人が新研究室配属となる」という話をされました.そのときはまだ機密事項だったので,当時の研究室内では赴任してくる新准教授のことを「例のあの人」と呼んでいましたが,後日,その「例のあの人」から新B4に向け研究内容・新研究室の方針についての説明会があるというアナウンスがありました.

 

この説明会について,アナウンスから当日まで本当に期間が短かった気がします(2, 3週間あったかどうか位?).そしてとても残念なことに,その説明会の日,私は旅行を計画してしまっていました.当然キャンセル料がかかるくらい直前だったため,当時の私がとった選択は「説明会欠席」でした.今考えても中々すごい決断をしたものだと思いますが,とにかく大事な顔合わせを欠席してしまいました.その後,新B4にはどちらの研究室を希望するかのアンケートが取られましたが,私は「新研究室への移籍を希望」としました.もう全く訳がわからないですし,今考えれば両研究室に失礼なことをしましたが,当時の私は,

  • 面接を乗り越えてでも入ったくらいに元ラボには愛着がある
  • 一方で,新研究室の立ち上げというイベントに立ち会えるのは日本でも限られた人しかいない⇒チャレンジすべき!

という思考回路のもと,新研究室を希望しました.後々このことを現ボスに話したところ,笑いながら「君は研究内容が気に入って来てくれたと思っていた」という旨のことを言われましたが,当時の私はシンプルな小並感で選択しただけで,人生は面白いですね.というわけで移籍する3人が決まり,4月から新配属となりました.

 

2020年 春学期

晴れて杉浦孔明研究室が発足し,最初の週にオリエンテーションがありました.当時の部屋は机があるだけのなんっにもない部屋だった気がします.そこでまず顔合わせ(私のみ真のはじめまして)があり,その後にラボのルールについてお話がありました.ここで力試しに,Pythonで四則演算を実装してと言われたことを覚えています.そして当たり前のようにできなかったことも覚えています.これもあって今の新B4は皆優秀だなあと毎年ひしひしと感じますね.後,この日にボスがコンビニでアイスを買ってくれたこともすごい懐かしいですね.あれ以来買ってくれたことはありませんが.そうこうしている内にオリエンテーションは終わり,解散となりました.

 

そしてここからが悪夢でした.はい,コロナの始まりですね.オリエンテーションの直後に大学が立入禁止になる旨が発表されました.そのため,ここから春学期終了まではほぼ全てのミーティングを自宅から行いました.先輩もおらず,深層学習の知識も皆無(今はちゃんと講義があるので時代が変わったなあと思います)だったため,PRMLの輪読やプログラミング系の研修は全てボスが直接担当してくれるという豪華ぶりでした.オンラインでしたが.また,輪講も同時にやっていたことを覚えています.この頃は学生が3人だったので,2週に一回全員輪講発表+週1?2?で理論研修発表+他の研修+オンライン講義という凄まじいスケジュールでした.一方で今の学生はB3冬に新人研修を全て終わらせることを考えるとやっぱり後輩たちはすごいなあと思いますね.

 

また,春学期すぐに大学院の応募がありました.当時ボスが赴任してすぐだったので,HPに誤って修論指導資格なしと書かれていたり,そもそも指導教員の選択肢にボスの名前が無かったりするなど,そこそこドタバタしていて面白かったです.そうしてそのまま新人研修が終わり,最後に情報工学輪講をオンラインで行い春学期が終了しました.この頃にはコロナが一旦落ち着いていたように思います.

 

2020年 秋学期

夏にようやくラボに行くことができるようになりました.そして同時に卒論に向けて研究生活がスタートします.当時深層学習のコーディングが初心者だった私がまず課題として与えられたのが,tensorflow 1で書かれた既存手法のコードを全てtensorflow 2に直すことでした.今ではPytorchで書かれたものが殆どで,またわからなければChatGPTに投げれば全て綺麗に修正してくれますが,当時は全部をドキュメントや記事を見て手作業で直しました.これだけで1ヶ月くらいかかったことを覚えています.今思うとこういったことでコーディング力は鍛えられたなあという感じですね.既存手法は2つ動かしましたが,2つとも動いたのが10月とかだったと思います.振り返るとかなり厳しいスケジュールですね.

 

また,この頃は毎週のように模様替え・家具の入れ替え・組み立てがありました.脚立と台車は数え切れないくらい借りました.当時引っ越し屋さんに配属されたのかもしれないと冗談を言っていたくらいです.今でこそすごい綺麗な研究室の内装ですが,ここにたどり着くまでに三、四回位は模様替えしているように思います.

 

また,イベントとして研究室内ハッカソンだったり,IROS・RSJ・JSAI(春学期)聴講だったりをしていました.研究初心者過ぎて良い論文の見分け方が全く分かっていなかったのですごいもったいないことをしてしまったなあと今でこそ思いますが,コロナ&初代なりに色々ボスが経験させてくれたのはありがたかったです.

 

そうして12月になると,いよいよ卒論の執筆が始まります.60QAで進めていきましたが,相当きつかったです.なぜならまだまだ専門的な知識も論理力も無かったので,とてもじゃないけどもまともな文が書ける状態では無かったからです.特にはじめにを書くのに何回もミーティングをしたことを覚えています.はじめには今でもきれいには書けませんが.これと同時に,研究室配属のシーズンも到来していました.この頃の売りは人数が少なすぎてボスがすごい面倒を見てくれるということがありました.超人気というわけではないですが,最終的に面接になってしまったように思います.また,キャラが尖った志望者が多く個人的にこの年は面白かったです.配属も終了し,2期生が入ってきたことで孔明研が少し拡大したのも懐かしいです.

 

年が明けると,卒論の追い込みがあった気がします.あった気がしますというのは,ちゃんと覚えていないからです.なぜかというと,年明けはもうIROSのための準備しか記憶が無いからです.まずIROS RA-Lオプションへの投稿の話をされ,それについての研究成果の満たすべき条件が伝えられました.これは努力目標のはずなのですが,多くの場合学生にとっては義務のように感じられるものです.それは私にとっても例外ではなく,一ヶ月間で新規性を発見する地獄研究生活が始まりました.第一回病み期のスタートです.この時期は何をしても上手くいきませんでした.それもそのはずで,やりたいことは卒論時に一旦終わらせているため,もう出せる手は出していたためです.何回実験してもうまくいかず,かといってやらないわけにもいかず,この時期は本当に辛かったです.一番ひどいときは大学の最寄りからラボの間で気を抜くと涙が出てくるくらい追い込まれていました.それだけ辛かったのに博士課程に進学してしまっているのはバグでしょうか?とりあえず,この時期は本当に追い込まれていました.

 

そんなこんなでなんとか目標を達成した後,続いては第二回病み気(論文執筆)の始まりです.これもまたきつかったです.英語力が皆無な上に,日本語でも論理力が足りずまともに書けないのに況や外国語をや,という話です.サクサク進んでいる同期を見てはてなマークしか浮かんでいませんでした.そうしてなんとか原稿が仕上がったと思った締切前日,ボスから告げられたのは全ての数式を見直し&書き直しでした.本当に発狂しそうになりました.そこからはもうずっとミーティングして修正してを繰り返し,最終的に締切数時間前にsubmitしました.submitしたときの空の色は覚えていませんが,自分でもよく投げ出さなかったなあと思います.この時期のことを当時付き合っていた彼女に後から聞いたところ,12月からこの頃くらいまでの自分は近寄りがたい雰囲気だったそうです.それはそうなるわ.

 

一年目のまとめ

ここまでダラダラと書きましたが,こう見るとずっと忙しかったように思います.まあ学部1, 2年のGPT平均2.3の人間がよくレター&圧倒的ボス力とは言えB4でジャーナルに出せたなあと思います.この一年の教訓としては,エラー出力はグーグルにコピペ,ですかね.個人的にB4の一年は若干実力が足りていないので伸びが感じづらいですが,いろんなことをちゃんと裏では吸収している,忍耐の時期なのかなあと思います.

 

ここまでの駄文に付き合ってくれた方がいたら有難うございます.第二部以降もいずれ書こうかとは思っています.ありがとうございましたm(-_-)m